一人ぼっち ~第二章~

第一話 「34年」

大雨の中、ずっと、ずっと倒れている生き物。
ミュウツーという名だ。
いつ死んでもおかしくない。もう死んでいるのかもしれない。
そんな状態だった。

ザァァァァァァァァ・・・。


一人ぼっち ~第二章~
  第一話 「34年」

雨がやんだ。
太陽が森を照らす。
日が差し込んでくる。
そこに、一匹のポケモンが、バスケットを持って木の実をあつめに森へ来た。

「おお!ついにこの木の実も熟したか!よしよし。これがオレンでこれがカゴでこれが・・・ミュウツー?」

そのポケモンは、ミュウツーの怪我をみたとたん、バスケットを放り投げてミュウツーの所へ走っていった。
そして、その場にすわりこむ。

「ねぇ!大丈夫?!」



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「失敗しました・・・。」
「材料の無駄だ!早く捨てろ!」
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「!!!」

バサッ!
目の前には木で出来た屋根。
頭にふかふかしたものがある。
ベッドの上か。

「あ。起きたねー。」

そこにはピカチュウがいた。
どこかで見覚えがある。

「君・・・は・・?」

「僕?僕はセレ。」

ウィン・・・ではなかった。
だが、何か似ていた。
ミュウツーはうろ覚えだが、ウィンのことを話してみた・・・。

「ウィン?ああ。お父さんの友達だね。」

「お、お父さんの友達?」

「そう。僕のお父さんがレオって言う名前で、その友達がウィンって言う名前だった。」

ミュウツーはすぐに分かった。
ウィンと旅をしていた時は、かなり前のこと。
今はそれからずっと先だ。
ミュウツーがカレンダーをみると、そこには、1834年。
前はちょうど1800年だった。
ミュウツーは34年間倒れ続けていたのか?
ミュウツーはそんなことを信じる事が出来るはずが無かった。

「それにしても、何で左腕が無いの?ちょっと不気味だね。」

「ああ・・・。少し、あってな。」

「?ふーん。」

一通り話を終えたミュウツーは、ベッドに座りながら窓の外を見た。
枯れ果てた木が並ぶ。どこかで見たことがある。
それに、この部屋も少し懐かしいにおいがした。

「ここは・・・?」

「うん。昔はここもきれいな緑に囲まれてたんだけどね。
14年前に炎ポケモンたちがこの国を占領して、この森も焼き尽くされてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・?あれ?ミュウツーってこの森で倒れてたんだよね。」

セレは首をかしげて、目を上にむけた。
この後の言葉は、ミュウツーにもわかった。
そして、ミュウツーがこの後の言葉を言った。

「何故俺はこの森で無事だったのか・・・?」

「・・・。」

セレとミュウツーは二人で顔をあわせ、そのまま黙り込んでしまった。