一人ぼっち

第十六話 「発動」

「・・・。・・・・・。」

ここは森。
苦しそうな顔をしてミュウツーはゆっくりと起き上がる。
何度も飲み込んだ水を吐き出して、木にもたれこんだ。
・・・手には命の秘宝が。

「ウィン・・・。」

ミュウツーは辺りを見回すが、ウィンはいなかった。
すこし休憩して、また立ち上がった。

~一人ぼっち~
      第十六話 「発動」

何本も何本も木が見える。
そんな森の中をミュウツーは歩いていた。
地面は、先ほどの洪水だろうか。じゅくじゅくしている。
地面を踏むたびに、水がすこしだけあふれてくる。

「はぁ・・・。」

途方も無い森の中、ミュウツーはまた座った。
その木の裏側には・・。

「ミュウツー・・・。どこいったんだろ・・・。」

偶然、ウィンが同じように座り込んでいたのだ。
ミュウツーはウィンに声をかけた。
すると、ウィンはすぐに反応し、嬉しそうな声で言った。

「ミュウツー!」
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「どうやら、ミュウツーが持っているようです。」

「ふふふ・・・。秘宝は取られたが、まだこいつがある。」
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ザク、ザク・・・。

地面を踏むたびに音が鳴る。
ミュウツーとウィンは秘宝を見ながら進んでいた。
どうやって封印すればよいか、考えているのだ。
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「発動させろ。プロフェンディ。」

ヴィアンが一つのボタンを押した。
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「?」

心臓がどきどきし始めたミュウツー。
何か嫌な予感がする。そんな気持ちで一杯だった。
そして高い空から降ってくる丸い玉。二匹がそれを見たときには・・。

ゴッ・・・。

低い、そして、お腹に響く音が一瞬だけなる。
そして、木は見る見るうちに吹き飛ばされる。
ミュウツーも、ウィンも、また洪水のように爆発に飲み込まれた。











「・・・。」

「・・・。」

ミュウツーとウィンが倒れている。
全く目を開けない。
その二匹の前に、またヴィアンとデュオが現れたのだ。
そして、ミュウツーの持っていた秘宝を取って、すべての木がなぎ倒れた森を進んでいった。







「ここは・・・。」

上、下、右、左。何も見えないところにミュウツーはいた。
目がかすんで見える。
これはきっと天国だろう。そう思っていた。
ミュウツーの前に、ホウオウが現れる。




   何故ここに来た?



「多分、俺が死んだから。」



   お前が死んだだと?なるほど、先ほどの爆発か。


   ・・・。お前にもう一度だけチャンスをやる。これ以上、ここへ来るな。











「?!」

ミュウツーが起き上がった。
そして、ウィンも起こす。
ウィンは、すこし血を吐くが、何とか起き上がることが出来た。
だが、すぐに秘宝が無いことに気がついた。
二匹は何も出来ないまま、ただじっとしているだけだった。