一人ぼっち

第十七話 「分身」

「・・・。」

腹部を押さえているミュウツー。右腕の血をとめようとしているウィン。
二匹とも、じっと下を向いていた。
ウィンはミュウツーに話そうとするが、何を話すのかがわからない。
じっと、何分も、何時間も、その場に座っていたのだ。

~一人ぼっち~
    第十七話 「分身」

「ねぇ・・・。このまま座ってどうするの?」

やっとの思いでウィンはミュウツーに話しかける。
ミュウツーはウィンに答えた。

「秘宝が取られて・・。森もこのざまだ。
きっと、奴はデオキシスをよみがえらせ、残った秘宝で何かを作り出すつもりだ・・・。」

「でも、このまま座ってても何も変わらないよ?」

「・・・。そう・・・だな。」

ミュウツーはウィンの言葉に納得して、歯を食いしばって立ち上がる。
すこしふらふらするが、何とかバランスを保った。
そして、ウィンも右腕を押さえつつ立ち上がった。
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「この秘宝があれば・・・。デオキシスどころか、何百匹もの悪魔のポケモンを作り出すことが出来る・・・。」

「ヴィアン様。デオキシスの体は無意識に抵抗しているようです。すんなりと蘇りません。」

「そうか。なら、先に第二のプランを実行しろ。」

「はっ」
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また木にもたれこんでいるミュウツーとウィン。まだ下を向いていた。
すると、どんどん空の色が紫になっていく。
ミュウツーは目を細めて空を見る。
そして、近くから声がする。

「貴様が失敗作か。」

すぐに声のした方を見るミュウツーとウィン。
二匹が見たほうには、紫の体をしたミュウツーがいた。
そのミュウツーは、ちゃんと両腕がある。

「私はナイトメア。お前と違ってミュウツーの成功作だ。」

「何?!」

「命の秘宝でうまれた。あの秘宝は一センチのかけらでも大量のエネルギーが含まれている。」

そして、ナイトメアは上に手を伸ばす。
すると、紫の空から黒い大きな塊が落ちてくる。
ミュウツーとウィンはそれに押しつぶされた。
二匹は苦しそうな顔をするが、何とかそれに耐えた。

「う・・・。」

ナイトメアは怪しげに笑った、
そして驚きのような顔をした。

「この力・・・。力があふれてくる!」

体全体をぶるぶると振るわせ、にやりと笑う。
ナイトメアの周りの物がすべて飛ばされていく。
それほど、力が強いのだ。
どうしようもなくミュウツーとウィンはそのまま立っていた。
すると、遠くから何かの音がする。

ドスン・・・ドスン・・・ドドドドドド・・・・。





「もう来たか。ククク・・・。」

ナイトメアが後ろを向く、すると、なんと大量のポケモンが走ってきた。
それも、普通のポケモンではなく、色がうすい紫色のような体になっている。

「まさか・・・。こいつらもあの秘宝で作ったというのか?!」

「ああ。そうだ・・・。この数なら私がいなくても貴様らたちは勝てん。
フフ・・・フハハハハハハハハ!」


続く