一人ぼっち

第2話 「理由」

ミュウツーはあたりを見回す。誰もいない。
何度か寝転ぶ。ミュウツーは、何もしゃべらず、黙っていた。
しばらくすると、突然スイッチが入ったかのようにミュウツーは立ち上がり、北のほうへと歩いていった。

~一人ぼっち~
   第二話 「理由」

ずっと下を向いて歩いている。ミュウツー自身もどこに行くのか分からない。
どれだけ歩いても、人が見つからない。ここは「砂漠」のようなところだった。
ミュウツーが上を向くと、遠くに町が見える。かすかに、ミュウツーと同じ生き物。すなわちポケモンが見える。それも、たくさん。
いこうとしたのだが、その場に座り込んでしまう。
こんな姿を見られては、町の人たちはどんな反応をするのだろうか。
ミュウツーはそんな人生。人に接することもできず、一人で生きていくのだ。



それが本当の「一人ぼっち」。
ミュウツーは深いため息をついて、独り言を言う。
「俺・・・は・・・。何のために生まれてきたんだ?」
人やポケモンが生きるのには、何か理由が無くてはならない。
理由が無い生き物は、生きている証が無いということだ。
ミュウツーは思った。
「理由」を聞くためにここまできたのかもしれない。
自分で言ったことをきっかけに、自分が生きている理由がどんどん聞きたくなってくる。
ミュウツーは涙を落とす。そして、町へ進んでいった。






まちへついたとたん、人間はミュウツーを見る。そして小声で話しているのだ。
「何・・?あのポケモン・・・。」
「まぁ。気持ち悪いわ~・・。」
それから人間は家へ逃げるように帰っていく。そして家の窓からのぞいているのだ。
しかし、そんなミュウツーを慰めてくれたポケモンがいた。
「ねぇ。君はどこから来たの?」
話しかけてきたのはピカチュウ。背の差がかなり違うので、ピカチュウは上を見上げて聞く。
「・・・。分からない。」
「?まぁいいや。君も野生?」
ピカチュウは続けて聞く。するとミュウツーも答える。
「多分・・・。そうだと思う。」
「ふ~ん・・・・。僕も野生なんだ。僕の隠れ家にこない?」
「隠れ家・・?」
ミュウツーとピカチュウは、また北のほうへ歩いていった。





       続く