一人ぼっち

第9話 「森の魔獣」

「やっと、森が元に戻った・・・。」
ウィンはほっとしたように言う。
ミュウツーはまだ下を向いていた。
「・・・ホウオウのこと?」
ウィンが聞くが・・・。
「いや、またいやな予感がするんだ。」


~一人ぼっち~
   第九話 「森の魔獣」

がさがさ・・・。
旅を続けている二匹。しばらく歩くと、予感が的中する。
ドスン・・・。ドスン・・・。
「何だ?」
ミュウツーはあたりを見回す。・・・。木が揺れている。
ウィンはすこし心配した。
そして・・・。
ドォォォォォォォン!
「?!」
ミュウツーが後ろを振り向くと、大きな恐竜。いや、ポケモンが大暴れしていた。
「キシャァァァァ!」
ウィンは目を丸くする。
そして・・・。
「・・・バンギラスか!
にしても大きすぎる・・・。」
そう。バンギラスの大きさは、ミュウツーの何十倍以上あった。
ウィンはバンギラスに電気を流す。
しかし、バンギラスはその電気を簡単に止める。
「電気を通さない・・・。岩か?」
ミュウツーは考え込む。
そして念力で攻撃するが、まったく聞いていない。
「な、何故だ・・・?岩のほかに・・・何かあるのか・・・!」
「グルルルァァァァァァ!」
バンギラスは怒ったのか、ミュウツーとウィンを踏みつけようとする。
ミュウツーはウィンの耳をつかんで、すこしはなれる。
しかし、バンギラスはまた、もう一つの足で二匹を踏みつけた。
「?!」
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン・・・・・。












「・・・・うっ・・。」
ミュウツーが起き上がる。そこには何もない。
あるのは永遠にある地平線・・・。
遠くから声がする。


  「お前は・・・。一人ではない。」

「?!」

  「皆がついている。」

「皆・・・?」

そしてミュウツーはゆっくりと倒れた。





「!!!」
ミュウツーはまた起き上がる。ここは森。バンギラスのいたところだ。
いや、いる所と言ったほうがいい。
目のまえにはウィンが倒れている・・・。
ミュウツーは何が起こったのか理解する。
そして・・・。
ミュウツーは目を閉じ、瞑想をする。
「ホウオウ・・・。我に力を・・・!    我はここにあり!」
キィィィィィィィ!!!
突然高い音がして、無数の火の玉がバンギラスを襲う。
「グァァァァァァァァァァァァ!」
そしてバンギラスを炎で包む。
そして囲んだ炎がどんどん小さくなっていき、やがて小さな一つの火のたまになる。
その火の玉は、音もなく消えていった。
「・・・・。」
ドサッ・・・。







「・・・?」
バサッ!
ミュウツーが目を開ける。ふかふかのベッドで寝ていたようだ。
辺りを見回す。すると、ドアから誰かがやってくる。
「お、おきたか。びっくりしたよー。ピカチュウと一緒に倒れてたんだからな~・・・。」
「ウィンは・・・?」
「ん?あのピカチュウはウィンっていうのか。あの子ならもう一つの部屋で寝てるよ。」
ミュウツーはあの炎のことを思い出す。
ミュウツーは、死者の力を借りることが出来る。勿論、ホウオウの力も・・・。
しかし、力を一回借りると、魂がすこし減る。それが原因で気絶したのだ。
ミュウツーはそれを知っている・・・。
「おっと、自己紹介を忘れていたね。私の名前はウォラ。見ての通りバクフーンだ。」
ミュウツーは窓を見る。
「凄い都会だな・・・。人間は何人いるんだ?こんな町は有名だと思うが・・・。」
バクフーンは椅子に座って言う。
「ここはな・・・。人間のいない町なんだ。」

「・・・?」


続く